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高校生のころ、たまたま神戸に立ち寄ったとき、高架下の街並みに衝撃を受けた。一見、だれが商売しているのかわからない。こんな店が、どうやって成り立っているのか。魔境、という言葉が浮かんだ。すると、その言葉が頭から離れなくなった。以来、三ノ宮から元町へと続く謎のゾーンは、僕にとってのあこがれの魔境であり続けているのだ。

    

そんな魔境にある店は、やはり普通のものばかりではない。そこで、今回僕たちが見つけた5つの不思議な迷店を紹介していく。

まだ高校生のころ、新しい発見を求めて神戸の三宮の高架下の一帯をうろついていた時。ぱっと目についたのがオーストラリアの民族楽器のディジュリドゥと呼ばれる民族楽器の姿だった。「まさか、神戸の高架下にディジュリドゥが売っているの!」思わず足を止めると、色とりどりの雑貨がエスニックな雰囲気を漂わせるアジアン雑貨屋の「コップーン」という店が自分の目の前に広がった。

人を包み込む温かい雰囲気でいつも笑顔のオーナー、高見さん。今回の取材で知ったのだが、高見さんはなんと、わが芸短の前身、浪速短期大学の卒業生だった!不思議な縁を感じる。自分は昔からアジアンチックな店が好きだった。

阪急「三宮駅」から徒歩約3分。
このコップーン、とてもかわいくて面白い雑貨があるので、ぜひ立ち寄ってみてほしい。

それはまだ、僕が高架下に通い始めて間もないころのことだ。突然トイレに行きたくなり、せっぱつまってもう選択の余地もなくなり、夢中で駆け込んだのがこの店だった。そして、そこからすべてが始まったのだ…。世にも奇妙なアート・ワールドが店内に炸裂していた。衝撃という衝撃が僕の体を電気のように走った。

「なんだ、ここは?凄過ぎる…」「こんな店があるんだ…」
入り口をふさぐように、さまざまな廃品や部品で出来た巨大な牛のオブジェがポツンと立っている。あれからずいぶん時間がたったが、今も「高架下」といえばこのプラネットEartHが頭に浮かぶ。

JR「元町駅」から徒歩約4分。
世にも奇妙なアート・ワールド、興味のある人はぜひぜひ、勇気を振り絞って足を踏み入れてください。

高架下の面白いお店を探していたときに、高架下の「最深部」モトコー5にたどり着いた。あたり一面にシャッターが下りた薄暗い空間。そこに、可愛らしい緑と黄色の「パコカパ」という自筆の立て看板が目に付いた。
「ええやんか!見つけた!」

そんな直観に流されるまま入っていったら、店内にはグリーンの人工芝が広がり、ハッピーな雰囲気のするピクニック小屋のような内装のお店が目の前に広がっていた。店内にはこたつもあり、マッタリとなごむ。なぜか綿菓子の機械もある。モチロン、動く。

阪神「西元町駅」、もしくは阪急「花隈駅」から徒歩約3分。
いつも笑顔でみんなを盛り上げる紅一点のむらごんさんといつも冷静で、落ち着いた雰囲気のだるそんさんの、まるで夫婦漫才みたいな掛け合いも面白くて、つい笑顔がほころび、今日も2人の世界に引き込まれていく。

高架下取材で、みんなと高架下を歩いていたとき、不思議な空間が目についた。見た感じでは空きスペースなのだが、そのスペース全体に「161」という番号をテーマにしたアート作品が展示されていた。聞けば、これから訪れるプラネットEarTHと連携して作ったフリースペースなのだそうだ。白い部屋にさまざまなアート作品が並び、面白い空間が広がっている。奥のスペースにもアート製作所みたいなスペースが広がっている。

僕たちは、その展示の最初の観客だった。
ここを訪れた一人目のお客さんになれたのがとても嬉しい。

朝からたっぷり一日かかった高架下取材行。とっぷりと日も暮れたころ、ようやく最後の目的地である焼肉店「銀河」にたどり着いた。半世紀前から元町界隈で焼肉屋をされているマスターの田宮さんに話をうかがった。以前は高架下に店舗があったという。当時の店舗は木造であったことや、市電に乗って長田の市場まで仕入れに行っていたという歴史を感じさせられる話が印象に残った。

港町・神戸は昔から国際都市。韓国人の船員もよく街を闊歩していたので、元町界隈には焼肉店が発達したということだ。目の前で炎を上げる焼肉に舌鼓を打ちながら、マスターから昔話を聞かせてもらう。まだ少年だったマスターが、国鉄の電車に乗って材料の仕入れに行った話が印象に残った。

阪神「元町駅」から徒歩約1分。
歴史の味を感じてみてほしい。

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