今回は伊丹市宮ノ前2-5-28伊丹市立工芸センターで十一月十八日から十二月二十四日まで開催されている伊丹国際クラフト展(伊丹市工芸センター[公益財団法人いたみ文化・スポーツ財団/伊丹市])にお邪魔してきました!伊丹の街の中で開かれる、一見なんてことはないイベントだが、実は毎年全世界から応募者が殺到する国際的な展覧会なのです。取材した二十九年十一月十八日に表彰式が行われ、会場は華やかな空気に包まれました。
十一月十八日午後一時、入賞者の表彰式が催された。クラリネットの美しい軽やかな演奏が表彰式という舞台をより華やかに飾り立てた。緊迫した空気の中、表彰式の幕が開く。次々と入賞者が壇上へと上がり賞状を受け取っていく。
入選・入賞した作品は一般公開され遠方からも多くの方が来場する。工芸センターが営業している工芸クラフト店は入選・入賞した作品のみ販売されるらしい。
国際クラフト展は今年で記念すべき二十回目を迎える。始まりは一九八九年という長く古い歴史を持つ。国際クラフト展に〝テーマ〟が設けられたのは一九九七年。テーマは以下の二つで毎年交互に開かれている。
伊丹は清酒発祥の地として栄え今もなお続いていることから「酒器・酒盃」と工芸センターが二〇〇一年に開講した伊丹ジュエリーカレッジがあることから「ジュエリー」。国際クラフト展は全国公募展だったものが国際展へと発展したものである。そんな今年の国際クラフト展の〝テーマ〟は「ジュエリー」。
今年の応募数は海外二十一ヶ国百四十八名を含めた三百四十八名、作品数千百六十一点。この中から厳正な審査の結果九十七名が入選し海外からは六十二名。その内八名が入賞された。
これらの多くの作品にはどれも共通点があるという。各作家の身体・自然・社会環境との関わり方、精神や思想が確かに造形されたものであるというもの。作品が完成するまで多方面から向き合い、言葉では表すことの出来ない各作家それぞれの愛情が込められた「ジュエリー」たち。
今年は素材への目の付け所が変わっているものが多く集まった、と責任者の方から話を伺った。展示会場を案内して頂いたのだがそれも素材になるのか、と驚きを隠せなかったのだが、うろこや灰、野菜の皮、骨、米、髪と紙。文字からは到底想像することも創造することも出来ない「ジュエリー」がそこにあった。
野菜の皮でつくられているのは四角いブローチ。骨でつくられているのは花そのものをかたどったものとそのネックレス。 髪は糸のように布に縫われていたり、紙は焼いた黒焦げの状態で顔を覆うような大きなマスクと化していた。灰は大賞受賞作であり広告やパンフレットの表紙を飾っている作品の葉のブローチなどなど。
それらはショーケースの中に飾られたり壁に飾られたりと丁寧に作品に合うよう展示されていた。来場者は各作家の技を見たり素材は何かゆるりとじっくり観察していた。目の前の「ジュエリー」たちは本当に人の手で造られたものかと我々は思えなかった。
一度、足を運んではいかがだろうか。行かねばきっとこの良さは分からないだろうから。これ程までに造られた“美”をありのまま感じる機会はそうそうないと思われる。この場は個性の豊かさと独自の感性を裏付けるなんとも絢爛な空間だった。
大賞受賞者 庄田真弓さんに突撃インタビュー!
大賞作“Ashes”について
―――制作期間はどれくらいかかったか
半月か一ヶ月かかった。早い…かな、でもそのくらいです。
―――この作品を完成させるのに苦労したこと
灰の出来上がりが中々思うように仕上がらない。作業は繰り返しでも中々不器用なもので(苦笑)。
―――この作品を贈るなら誰に贈るか
贈りたい人はいない。
一緒にジュエリーを学んでた友人が亡くなったので自分へのなぐさめ、というか。いない……ですね。
―――庄田さんはジュエリーカレッジの卒業生とのことで知ったきっかけは何か
学校を知ったきっかけは知人がホームページ知ってて教えてもらいました。
毎日通えるか悩んだけどやってみようと思って。
―――始めてから今年で何年目か
今年で四年目です…ね。うん、四年目です。
―――始めた頃と今とで変わったことはあるか
日常生活の中でも細かいところまで目がいくようになりました。
―――今後の目標は
これからも感じたことをこうやって表現していきたいです。
―――貴方にとって「クラフト展」とは何か
クラフト展とは何か…うーん、なんだろう。……素材やコンセプトに真剣に向き合うもの。
突撃をかましたものの快く応じて頂きお話を伺うことができた。貴重な裏話が聞けたことは嬉しく思う。
庄田真弓さんご協力有難う御座いました。受賞おめでとう御座いました。