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彼氏のいない3人の芸短生が梅田周辺のデートコースを回って吟味していくという自虐的かつ奇々怪々な企画である!複雑に入り組んだ現代の梅田周辺に鋭いメスを入れ、様々な(カップルの)謎や(デートコースへの)疑問を徹底的に究明するアホ3人娘!
どうすれば多くの人の興味を引くことができるのか。考えに考え抜いた結果、自虐性を含んだ内容にすることにした。
そして我々は、たくさんの期待を胸に梅田へと向かったのであった……。

 
 5月某日、我々はあるひとつの目的のために集まった。
「カップルって普段どこで何をしているんだろう、気になる」
 恋人いない歴X年の3人衆は、街を出歩けば視界の端にチラチラとうつり込んでくる世のカップルたちに疑問を覚えたのだ。何をどう楽しんでいるのかそもそもどこに行ってるのかも何もわからない我々は、想像でデートスポットを仮定し、とりあえずそこに向かってみることで楽しいか楽しくないかを検証してみることにした。いわば妬ましい気持ちをどうにかして「な~んだ楽しくないじゃん!」と思いたい、というのが目的である。
 『楽しくない』を楽しんでいくぞ~~~!!(オォ~~!!)

11時30分 大阪駅中央改札集合
みさぴ (以下み):おはようやで
おかじま(以下お):おはよう~
うすい (以下う):おはよー!! 今日もみんなに会えて幸せ
 集合するとすぐ挨拶を交わす。挨拶は生き物同士のコミュニケーションに必要不可欠だ。「チョコミントが歯磨き粉なのか歯磨き粉がチョコミントなのか」論争を交えつつ靴紐を結びなおし、我々はいざ決戦の地「HEPFIVE」へ向かう。地方から引っ越してきたはずなのに、なぜか大阪府民のおかじまよりも梅田に詳しいみさぴのお陰で迷うことなくたどり着いた。
11時45分 HEPFIVE到着
 地下2階から地上9階までファッション、雑貨、グルメ、アミューズメントなどのショップで埋められているファッションビルHEPFIVE。その店舗数はなんと170以上! 10~20代女性に人気のブランドが中心なので、女性同士はもちろんのこと、彼女に連れられてきたカップルなんかが立ち寄りに来ているに違いない。HEPFIVEの象徴ともいえる真っ赤な大観覧車は、梅田のランドマークともなっている。
 ちなみに観覧車に乗ったカップルが頂上に到達したときキスする確率は90%だそうだ。私たちの後ろに乗っていたカップルはしていないようだったけど、もしかして私たちが後ろを見すぎていたのが原因だろうか。そうじゃないといいな。
 HEPFIVE7階のレストランフロアにある「Far D」というカジュアルレストランに入ることになった。生パスタ+ハンバーグorオムライスにジュースまでついて1080円というランチメニューがあり、おいしくてお財布にも優しくて最高である。女に奢る宿命がある男にとっても払いやすいでしょうね!!
 しかし意外と店内にカップル客は見当たらず、女友達同士や親子と思える人たちばかりだった。やはりデートとなると男はそこそこ高いところに連れていきたがるのだろうか。見栄は張らなくてよろしいのですよ。
 ちなみに、「デートするとき彼氏の財布の中にいくら入っていてほしい?全奢り派?割り勘派?」という問いを我々の中に投げかけると、みさぴ「2~3万円、所々奢ってほしい」おかじま「4万円、基本奢ってほしい」うすい「5万円、割り勘がいい」という結果になり、一番高額に答えたうすいが割り勘派という謎。お前は一日のデートで一人5万円も使って経済でも回していく気か?頑張れ。

お  :デートやからSNOW※キメるで~!!
み  :B612※にしよう
う  :うわ~~!
 ※説明しよう!!!!SNOWとは、2015年11月にリリースされた人気カメラアプリである。10代~20代の若者を中心に爆発的な人気を誇っている。なかでも「顔認識スタンプ」機能は、撮影中にリアルタイムで加工が入るので、手軽に可愛くしてくれるカメラとしてイマドキ女子たちにすこぶる重宝されているのである!
 ※B612とは、自撮り専用カメラアプリのことで、あとはSNOWと以下同文である。

 ご飯が運ばれてくるまでの間、SNOWは我々をどこまで可愛くすることができるのか力量を測らせてもらった。結果、SNOWで撮った写真はもはや原型をとどめていないことが多かった。そもそも、写真に可愛く映っても我々の顔は変わらない。そんなことを思い知らされ、結論として美少女への憎しみが増した。いいよなぁ美少女は。そんなこんな紆余曲折を経て、ご飯が運ばれてきた。
 運ばれてきたご飯を前にした我々3人は、かなりお腹を空かせていたこともあり、いただきますを述べたあと黙々とご飯を頬張り続けた。ここだけの話この文章は録音を元に書いているのだが、食事中だけは誰も何も話しておらず、それがこのお店のご飯の美味しさを物語っている。ていうかご飯中でしょ!!みんなも黙って食べなさい!!!!!!

 お腹を満たし、ついでにSNOWフォルダも満たし、我々が次に向かうのは観覧車だ。
 今回の計画を練るにあたって「1番おもんなさそう」と満場を一致させた本日最大のイベントである。昼間の観覧車なんて何を楽しめばいいのかもどこを見ればいいのかもよくわからない、でもカップルは乗ってるんじゃない!?みたいなノリだけで今から乗り込むのである。真昼間に彼氏に「観覧車乗ろう?」なんて私なら真顔では言えない。逆の立場に立ってもし恋人にそんな頓珍漢なことを言われてしまっては、了承するとしても少なくとも相手の目は見れないだろう。

う  :観覧車500円だって
み  :もっと1000円くらいすると思った
お  :いやそんなん高すぎやん
み  :ブチ切れるところだった

 意外にも観覧車に乗り込む人はそこそこ見受けられた。家族連れ、カップル、私たち。…そうか、私たち今、「なにを目的として乗ってるの?」と笑われてる側なんだ……。 心なしか受付のお兄さんの笑顔が冷ややかなものに思えた。
 HEPFIVEにある観覧車は一周15分かけて回り、中にはスマホなどと繋げ音楽などを流すことができる小型スピーカーも置かれている。「都合上あまり時間は無駄にしたくないけど手っ取り早く盛り上がりたいとき」なんかにおすすめの乗り物だ。ただし友達同士のときに限る。…はず。

さあ!いざ! 乗り込むぞ!

お姉さん いってらっしゃーい^^


  バタン


う  :閉じ込められたあああああああああああ
お  :いやああああ助けてええええええええ
う  :子供がいるのおおおおおおおおおおお
お  :密室で事件起こりそうやな
う  :名探偵コ●ンならこの観覧車爆発するんやで~
み  :頂上で止まるで~
お  :よっしゃコ●ンのBGM流そう

※ここからは皆さんも一緒に名探偵コ●ンのBGMを流してお楽しみください。

♪ちゃーらーちゃーららーちゃーらーちゃーららー
3人 : おおおおおお!!
う  :始まる!!
3人 : ああああん!!!
う  :爆発いつするかなぁ
お  :あのドン・キ●ーテかなぁ
う  :オラオラ!

 
お  :昼間の観覧車つまんねえよ~
う  :つまんねえつまんねえ!
お  :回るしか能がねえんだよー!
う  :回ることしかできねえ!
み  :無能
お  :しかもこのスローペース
み  :無能
う  :しかもなんで後ろに乗っとるんカップルやねん
お  :おい今どんな気持ちだぁー!?
う  :オォォイ!
お  :聞いてんのかぁあ!?
◎お口悪い注意報 ~しばらくお待ちください~

う  :わ~い電車だ電車だぁ~!
み  :めっちゃ人小さいな
う  :人間はちっぽけで愚か
み  :後ろのカップルがイチャイチャしてる
う  :どうしよう!?揺らすか!?
み  :待っていつの間にかてっぺん過ぎてる
お  :観覧車側がもっと主張しろ!
う  :大阪のみんな~ うすいやで~(立ち上がって大阪の民に手を振る)
お  :わぁ~うすい~!
う  :おるの今だけやで~~※兵庫県民
    ウッ!(狙撃された)
み・お:うすいーーー!!!
お  :ドアがあけへん!
み  :閉じ込められてるんや!!
う  :むくり。元気やで~
お  :やったああー!!
う  :大阪のみんなありがとうー!
み  :観覧車の楽しみ方見つけたな
お  :キャッキャッ
う  :…絶対、ここから見渡せる大阪の街のどこかで、今も犯罪が起こってる。

 この世界情勢の核心をついたうすいの一言を最後に幕を閉じた観覧車。わずか15分の短い間であったが、我々の心は「やっぱり楽しくなかったな」と確信を持てる、満たされたものであった。正直楽しかったけどそれは友達同士で乗ったからであって、後ろのカップルなんて本当につまらなさそうだった。観覧車を楽しめるかどうかは乗る相手が決め手になってくるようだ。   我々は勝ち誇った表情を揃え、次の場所へ向かった。

17時00分 コメダ珈琲 到着

 全国に700店舗もあるチェーン店の「コメダ珈琲」は、安い 多い しかもおいしい。メニューの見た目もかわいく、非の打ち所がないカフェである。しかし今回見つけた唯一の非といえば「梅田の駅徒歩10分圏内にない」ところであった。そう、なんとコメダ珈琲は梅田近くにないのだ。全国に700店舗もあるし、田舎住みのおかじまの家の近所にもあるというのにないのだ。「絶対あるやろ」と高を括っていたせいで下調べもせずにいたため、我々は途方に暮れることになる。適当にそのへんのカフェに入る案も出たが、我々はコメダ珈琲でどうしてもやりたいことがあったため、梅田から一番近い天神橋筋六丁目店に徒歩20分かけて向かった。「”梅田”デート」の参考にはできない記事になってしまったが、見捨てないでほしい。

 そんなこんなでコメダ珈琲に到着、着席し、頼んだものが運ばれてきた。

お  :コメダはすごい
う  :わかる、コメダすごい
お  :ただ一つ、難点がある
み  :なに??コメダに出来ないことなんて何一つないのに
お  :スプーンしかないねん!!!
う・み:ほんまや~~!!!
お  :せやから、こんなにも美味しいシロノワール※がこんなにも食べにくい!
 ※デニッシュパンの上にソフトクリームが乗っている、コメダの人気メニュー

 
▲スプーンだけで切るのを試みている

う すごい!ほんとや!!スプーンだけじゃ一口サイズに切るのが困難すぎる!
み コメダに出来ないことがあったとかショックが大きすぎる

 どうしてもやりたいこと、とはこれのことである。すべての顧客のニーズを満たしてくれているコメダ珈琲。その粗探しをしたかったのだ。
 どこまでも完璧なコメダ珈琲、なぜスプーンしか出さないのだろう。もしかしてコメダ珈琲の全ての店舗にフォークとナイフがないのでは?とも思ったが、調べてみるとそんなことないらしい。今回我々が行った店舗ではスプーンしか出されなかったが、フォークを出してくれる店舗もあるようだ。というか、店員さんに頼めばきっと持ってきてくださるだろう。コメダ珈琲にフォークとナイフがない説は立証されなかった。やっぱりコメダは強かった。コメダ珈琲さん、安くて美味しくて量も多い、これからもそんな店であり続けてください。

19時00分 解散

 我々はこんな感じでここまでデートコースをまわってきた。何も考えずに遊んでいただけのように見えたかもしれないが、当初の趣旨通り「楽しい」のか「楽しくない」のかジャッジしなくてはならないため、我々の頭は審査のことでいっぱいであった(多分)。しかしまだ何か足りない。そう、アレを忘れていたのだ。デートに出かけたカップルがすることといえばアレだろう!

「プリクラを撮ろう」

 そうして我々はゲームセンターへ向かい、カップルが撮りそうなプリクラの構図を撮ることになった。

 
 まず左のプリクラを見てほしい。顔はうつさない、雰囲気勝負の一品だ。ここまで載せてきた赤裸々な会話内容のせいで、少なくとも私には「メンチを切り合っていたら面白くなっちゃって笑っちゃった女ヤンキー二人」にしか見えないが、カップルならさぞ様になることだろう。
 次に真ん中。小指にはみんな赤い糸が結ばれていてそれが運命の人と繋がっているなんやかんやでとりあえずいい感じになると思います!以上!
 最後に右のプリクラ。「指でハートを作ってね!3、2、1」の間の短い猶予でやるにはあまりにも難解なポーズだ。「毎朝友達と会ったら挨拶代わりにこのポーズしてるよ

ここまでで我らの疑似デートは終わりだが、如何だっただろうか。思い返してみればHEPFIVEにもご飯屋さんにも観覧車にもあまりカップルがいなかった気がする。きっと平日だからだな、デートコースが見当違いだったなんてことはないはず。それでは、梅田のデートコースが、楽しいか楽しくないかのジャッジだが……。

楽しかったっちゃ楽しかったし、つまらんかったといえばつまらなかった。

ていうか楽しかったけどそれはデートコースじゃなくて、一緒に遊んだ仲間のおかげ・・・ ハッ

そうか……デートコースが楽しいんじゃない……
カップルも好きな人と居るから楽しいんだ
そのことに気づかせてくれて、ありがとう

「デートで梅田をまわるのは絶対にやめよう。」

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