火事場の馬鹿力で阿修羅マンの
阿修羅バスターを破れ!

火事場の馬鹿力

火事場の馬鹿力とは、キン肉マンの努力と根性によって引き出される力である。その力は他の超人たちを恐れさせるほどの力を秘めている。友情パワー。…ではなく、火事のような危険な状況に追い詰められたときに、普段からは想像できない力を発揮することだ。その威力は絶対に破ることができないといわれた阿修羅マンの阿修羅バスターを破るほどの力だ。 こんな話があるという。
少年が車の下敷きになった祖父を助けるため車を持ち上げた。
車に挟まれた息子を救うため、母親が車を持ち上げ、助けが来るまで支え続けた。
夫に不倫された足の不自由なおばあちゃんがその不倫相手の家に歩いて乗り込んでいった。
では、その驚異の力はどこで生まれ、どうやって出てくるのだろうか。

大声シャウト


通常、人間の脳にはリミッターが掛けられており、自分の最大限の力を出し切ったつもりでも実際は数%程度し通常、人間の脳にはリミッターが掛けられており、自分の最大限の力を出し切ったつもりでも実際は数%程度しか出せていない。常に100%の力を出した状態だと体がボロボロになってしまうので、体の損傷を防ぐためにリミッターが掛けられている。
それが危険な状況に立たされると、力を制御していたリミッターが外れ、脳内にアドレナリンが大量に分泌される。大量に分泌されたアドレナリンが100%の力を発揮し、例にあげたような力を出すことができるようになる。 火事場の馬鹿力とアドレナリンの存在は切っても切れない関係なのだ。
アドレナリンは、交感神経が優位になり、興奮した時や緊張した時などに副腎髄質から分泌されるホルモンの一つ。「脳内麻薬」とも呼ばれている。
アドレナリンが分泌されると、体のエネルギー代謝や運動能力が向上。血管の拡張、血流が増加し、心臓の筋肉の収縮力が増して火事場の馬鹿力のような重い負荷の運動に耐えることができるようになる。またそういった体力的な変化だけでなく、集中力や判断力などの精神的な能力も向上する。
アドレナリンが分泌されている間は、痛覚が麻痺し、火事場のような状況でけがをしても痛みを感じないことが多い。だが、そのような危険な状況を回避し、冷静になると今まで感じなかった痛みが一気に襲い掛かり、悶絶したり、中には気絶することもある。このように分泌されている間、痛みを感じなくなるということが「脳内麻薬」と呼ばれる所以なのだろうか。

カフェイン


アドレナリンは「生存本能の一種」とも言われており、人間の「三大欲求」と呼ばれる「食欲」「睡眠欲」「性欲」を抑制させるほどの力を持っている。なので、ダイエット効果があるとされている。アドレナリンが分泌されると、脂肪燃焼を促進してくれる。その上体温が上がり、代謝も上がる。さらに、食欲も低下させるのでダイエット効果があるのだ。
「ダイエットだるくてやりたくねぇーな。でも、痩せたい。」
という楽して痩せたがっている人はアドレナリンを分泌してあふれ出る食欲を低下させ、脂肪を燃焼させよう。

そんな力、自分の意思で自由に出せたら誰でもバトル漫画の主人公だ。そうなった自分をつい想像してしまうし、方法があるならばその方法を探し出して、自分の力にしようとするだろう。そんなこの世のすべての少年たちの憧れの力を、自分の意思で出す方法はあるのだろうか。
答えはない。ないが、瞬間的にそれに近い力を出すことができる方法はある。1つは、大声を出すことだ。
大声を出すことで脳の興奮水準が高まり、その一瞬のタイミングで使いきれていなかった筋肉を動かすために必要なところが一気に覚醒する。そのため、無意識に通常以上の力を発揮できるようになる。この現象は「シャウト効果」と呼ばれている。
「そんな、人が見てる場所でいきなり大声出すガッツなんてないわ」と普通の人はそう思うだろう。私だってそう思う。そんなことができるのは、スポ根漫画の登場人物かそのファンぐらいだろう。みんながみんな熱い人間ではないし、スポーツとかじゃなくて試験や面接前に叫ぶのは物凄いガッツとこの後どうなってもいいという覚悟が必要だ。 そんな人たちは催眠術や暗示、興奮剤などで火事場の馬鹿力に近い力を出すことができるのでそれらを試してみるといい。火事場の馬鹿力は判断力や集中力も上げるので、スポーツや危機的状況ではない試験や面接のときにも役に立つのでお勧めする。

火事場の馬鹿力に必要なアドレナリンはカフェインで増やすことができる。
カフェインは脳を興奮状態にするので、カフェインを摂ることでアドレナリンの分泌を促してくれるのだ。なので、カフェインが多く含まれているものを摂取すればアドレナリンの量を増やすことができる。
カフェインが多く含まれる飲み物は「コーヒー」「栄養ドリンク」「ココア」「紅茶」など。食べ物でカフェインが多く含まれているものが「チョコレート」「お茶系のお菓子」「ココアクッキー」「ミントガム」など。これらを摂取すると、アドレナリンが分泌されやすくなる。
またアドレナリンの前駆体であるドーパミンを増やすことでもアドレナリンを増やすことができる。ドーパミンはチロシンというアミノ酸から作られるので、チロシンが多く含まれる「大豆製品」「肉類」「ナッツ類」「乳製品」「魚類」を摂取するとアドレナリンのもとドーパミンを増やすことができる。

「やったぜぇ!これで俺も最強の仲間入りじゃん!今日からコーヒーとチョコレート食べまくってアドレナリンを大量に分泌してやろう!」
なんて考えは甘すぎる。なんでもそうだが、アドレナリンも多すぎるのはよくないのだ。
アドレナリン以前にアドレナリンを分泌するためにカフェインは摂取しすぎると、カフェイン中毒を引き起こす場合がある。
2015年、日本で初めて中毒死者が出た。カフェインに対して多くの人が不安を抱いたが、この死亡例は極めて稀なので、中毒を気にしながら、コーヒーやチョコを食べる心配はない。(引用:毎日新聞)
だが、これはカフェインに限った話なので、アドレナリンの恐怖は去っていない。
アドレナリンが過剰に分泌されると高血圧が長時間続き、血管を傷つけてしまうことになる。その結果、「動脈硬化」「脳梗塞」「心筋梗塞」などを引き起こす原因になってしまう。
また、精神面にも異常をきたしてしまう。アドレナリンが分泌され続けると、アドレナリンの材料が不足してアドレナリンが分泌されなくなり、「無気力」「無関心」「感情鈍麻」になり重度の「抑うつ」や「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」などに悩まされるようになる。
そうなる前にイライラが続いたり、ストレスが溜まっているように感じたら休息をとってリラックスすることをお勧めする。

火事場の馬鹿力は生存本能の一つとして、時にとんでもない力を発揮させてくれる大切で危険な切り札であることと、火事場の馬鹿力はコントロールできないことが分かった。
だが、それでもコントロールできるようになって、強くなりたいと考える人は確実に友情パワーを発揮できる心の友を見つけるか、北斗神拳の伝承者を見つけるといいだろう。
「いや、別にコントロールまでは求めてないかな」という人も生きているうちに一度は火事場の馬鹿力を体験することがあるかもしれない。

大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科メディアコース(出版) 田中茜

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