集める,組み合わせる,対戦する、
極私的21世紀カードゲームガイド

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世の中には知っていることと知らないことが存在する。この文章はカードゲームについて知ってほしいと思い書いた。知らない人はどんなものか触りがわかれば、知っている人は頷きながら読めるように。なるべく知っていることのほうが多いに越したことはない。このへんでカードについての知識をつけてもらえれば幸いだ。知っていれば、ぼったくり被害には合わない。

2006~2018カードゲーム録

1998年生まれの僕は2006年にカードゲームと出会った。友人がカードを地べたに広げている姿を見てなんだか気になったのがきっかけだ。スマホが普及しソーシャルゲームが台頭し始める2012年代はまだ中学生。同年代では持っているほうが少数派だった。しかし、2014年、高校生にもなると立場が逆転し、休み時間になると皆一様にスマホを弄りはじめた。高校デビューとともにスマホを持っていれば、流れに乗れたかもしれない。だが、手に入ったのは高校三年生の春。全てが遅すぎた。選択肢が存在しない中、カードゲームに勤しむほかなかったのだ。2018年現在。環境が変わり、始まった大学生活。ここで新規一転、カードゲームをやめよう。というわけではなく未だに続けている。

現在に至るまで様々なカードをプレイしてきた。出会いは「デュエルマスターズ」という小学生が対象のカードだ。カードをプレイするために必要なエネルギー「マナ」を貯めて「クリーチャー」を出し、相手の「シールド」を破壊して攻撃を通せば勝ちだ。小学生の頃、なけなしのお金で買っていたパックからはレアカードが割と出ていたのが印象深い。

お次は「遊☆戯☆王」。他のカードはターンを跨いで強いカードを出す。それに比べてゲームスピードが早く、手札次第では開始1ターン目から場にずらりとモンスターカードが並ぶ。僕がやってきた中で最も長くプレイしているものだ。

他にも、やろうと思ったらサービスが終了した「ガンダムウォー」。原作がガンダムという特にカード要素のないものだが、人気があった。カードの他に金平糖サイズの「コア」というアイテムが必須な「バトルスピリッツ」などをしていた。

最近始めたのが現在話題の「ポケモンカードゲーム」。ゲーム性はどっちかというとマナゲームな面もあるが、デッキを回す上で重要なドローカードを出だしからバンバン使える豪快な面もある。ポケモン同士が一匹ずつ戦いあったり、持たせるどうぐが一匹につき一つなところがゲームと同様の部分だ。

カードショップについて

カードショップはどういった場所にあるのか。また、人々はなぜそこに集まるのか。
一般的なカードゲームであるトランプや「罎ワOなどは、本屋やコンビニ、百均などで売っているセット一つを買うことで遊べる。一方でカードを収集する必要のあるTCG(トレーディングカードゲーム)では、プレイヤー自身がデッキの中身をルールに従って制作する。おもちゃ屋に売っているパックや構築済デッキを買うだけでなく、時には欲しいもの一枚を単品で購入したりする。その際に利用しているのがカードショップである。
カードショップではパックやデッキの他に、一枚ずつ値段のついたカードがショーケースに並んでいる。他にも、カードを保護するスリーブ、プレイする時に敷くマット、デッキケースなどが売っている。こういう商品はカードを置いてある店にもあるが、生産が終了している珍しい商品が置いてあることも。店ごとで取り扱っているカードが違うので、自分が遊んでいるものがあるかどうかは調べておいたほうがいい。中には、ゲームセンターのアーケードゲームのカードが置いてある店もある。
それらは主にビルの中に店を構えている。パッと見はわかりにくいが、店やビルの前にのぼりが出ているため、迷う心配はない。大阪では梅田に数店舗、メッカは難波のほうだ。カードショップは独特な臭気をまとっており、初めて訪れる際はちょっと気圧されるだろう。ショーケースに並ぶカードを買う時は店の人に頼む。カードを略称で呼んで通じる店員もいれば、「これを下さい。」と欲しいカードを指さす時がいる時もある。コンビニでいうたばこを名前で呼んでも通じる店員と番号を読まなければいけないのと一緒だと思ってもらえればいい。また、中古の本やゲームが売っている店にもカードがある。カードを専門で売っていないそれらの店では、珍しいカードや値段が上がったカードなどが相場とは違った価格で置いていたりするので、たまにチェックするのが吉。
さらに、公式のものや非公式の大会が実施されており、対戦は店の中のデュエルスペースで行われる。普段そのスペースではカードをフリーで、また友人と対戦もできるので、カードショップはプレイヤーたちの主な交流の場なのである。
どういった風に店を利用するのか。筆者自ら調査に参った。友人と待ち合わせをし、難波に着くや否やまずカードショップに足を運んだ。「よっ(颯爽と登場)。」
「まず店を回るか。」何か新しいデッキを組むために店を回り、欲しい商品が一番安価なところでカードを買う。
「ぼった値かよ。」
「○○(店の名前)のほうが安い。」目当てのものが欲しいときは前述したように単品買いするほうが安く済むからだ。その中でも一番安いものを買えばお得だ。単品で売られているものは汚いから自分でパックを剥いてカードを集めるというものがたまにいるが、非効率だしすでに公式で絶版になっているものはどうやって手に入れているか気になる。それにカードは基本的にスリーブに入れて保護するので直で触る人間などほとんどいない。潔癖症なのか。
「ただの浪費家じゃないか(呆れ)。」
話が脱線した。いざデッキを組んで対戦するとなるとお次はフリースペース探しだ。また店を回らなければいけない。休日は大会などのイベントもあり、空いている席を探すのに時間を取られる。平日はどこも空いているため遊べる時間を確保できるなら平日を狙えばいいだろう。どっと腰を下ろし、プレイマットを敷いたらあとはただ対戦するのみ。ほとんど席を動かずにずっとやる。ただ対戦しているだけでなく、デッキの調整や少し雑談を挟みつつ。
「ここのデッキの作りが云々。」
「このカード弱いから抜けば。」パックで引けた高額カードの自慢大会もある。
「これ数千円もするけど5パックで引き当てた。」
「アド。」まるで食事が済んだあとも雑談を止めない紳士淑女の昼下がりのような。電気屋でマッサージチェアに腰掛ける大人のような。席の利用が自由なところも似ている。
ふと店内に蛍の光が流れ出す。閉店時刻が迫る合図だ。だいたいの店は閉まるまでフリースペースは利用可能だ。店の閉店時刻は遅くて10時ほどではあるにしろ、カードを触っていると時の流れを早く感じる。
「もう閉まると。」
「そろそろ引き上げるか。」いそいそと片づけをして店を出る。そんな感じでカードをやる一日は過ぎていく。
普段はこうほのぼの(?)とした感じだが、ある時は忙しい。それはパックの新弾(次々と打ち出す企画や計画、作品などを数える語)発売日だ。特に現在人気の出ているポケモンカードゲームは凄まじい。発売日が平日の金曜日なのにも関わらず、朝の6時から開店待ちの列が並ぶ。これらの列が全てカードプレイヤーならたいへん活気があるなと思うだけだが、中には転売屋と呼ばれる買ったパックを未開封のまま高値で捌こうとする人間がいる。これはカードのみならず限定商品やセール商品に対し、稼げるとわかると群がる。抽選販売などは特にひどく、本当に欲しい人間よりも母数が多いため欲しい人に商品が回らない。売れ筋の商品に購入制限を設けたとしても人を雇って数を集めたりする。入荷数が多ければ対策になるが、最近人気に火が点いたものではすぐ対処するのは難しい。なんにせよ気楽に買い物をしたいものだ。
プレイヤーたるもの一度はカードについてどういう構築やプレイングがあるのかと頭の中で考える。しかし、自分一人でやるには限界がある。誰かと話して意見を交わし共有しあう、コミュニケーションの上で成り立っている。同じカードをする者同士の交流の場、それがカードショップである。

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