芸短生が学業の傍らに
始める副業に迫る

専門職の業界を目指す学生が多い芸短生。芸能界やデザイナーなど、専門職は本来の就職活動より難しくなるケースがほとんどです。 憧れの職業として終わる人も多いかもしれません。ライバルが多い中、学生でありながら積極的に活動を始める芸短生の姿とは。 将来の夢として考えているだけでは終わらない芸短生の副業事情に密着します。

舞台女優を目指す「戸間郁貴」さん～お芝居で食べていきたい～

舞台女優を目指している戸間郁貴さん。2021年春から、演者を有志で募集する舞台へ足を運び、オーディションを受けては稽古に励む演劇活動を始めています。体を動かすことが好きだった彼女は幼いころからダンスや声優の習い事をしていました。大阪芸術大学短期大学部の身体表現コースへ入学後、自身の体をあますことなく使い、人を魅了させるお芝居で一生食べていこうと決めたそうです。 芸短には同じ時期に練習を始めた仲間がたくさんいましたが、自分より上達するスピードが速い人や、自分より遥かにレベルの高い演劇を作る人がたくさんいて嫉妬や劣等感を感じることがありました。そんななかで彼女は現場での経験をしていくことが大切だと学び、オーディション活動を始めました。 劇団や養成所に所属していなくても一般公募からオーディションを受けて出演できる舞台があることを知った戸間は演劇界へ飛び込んだ。 演劇で稼ぎを得る方法として小中劇団で古くから行われているチケットバックというシステムがあります。各公演・劇団ごとに決められた枚数を自費で購入し身内や宣伝によって売り込みます。決められたノルマ以上の枚数を売り込めばその分に応じて自分の収入となります。 お芝居を仕事にするまでに、やっとスタート地点に立つまでの道が少し見えてきたと感じる戸間。他人への悔しさや嫉妬は感じているし、やめたいと思うこともあるが、決してマイナスに作用しているというわけではなく、常にこういった気持ちは持たなければならないと考えています。 挫折を繰り返しても「お客さんの心に届けたい」という気持ちがある限り演劇は続けることができる、と力強く語って戸間は笑顔で稽古に励んでいます。

ライブ配信者「堀香蓮」さん～待ってくれている人がいる～

将来、劇団を立ち上げたいという夢を持つ堀さん。そのために稼ぐ方法は無関係なバイトではなく、少しでも夢に近い道を選びたいと思い、ライブ配信をしようと思ったそうです。 身体表現コースで演劇の演出を担当している彼女はお芝居の勉強をし、稽古に励んでいます。そこで培った表現力を武器に、持ち前のトーク力を生かしてライバー（ライブ配信をする人）を始めることを決めました。 稼ぎを得る方法として、「投げ銭」というものがあります。ライブの視聴者はアプリ内の通貨、コインを購入します。そしてそのコインでスタンプを買い、お気に入りのライバーに送ることができます。この仕組みが投げ銭です。ライバーたちにはコインの一部が収益として現金でもらうことができます。 ライブ配信をするアプリはたくさんありますが、17ライブ配信を選んだ理由は自分のあこがれる好きなライバーさんが所属していたからだそう。自分も同じ目線に立つことを目標に一年前から始めました。 最初は視聴者がなかなかつかず、一人しゃべりをするだけの日も多かったそう。しかし、毎日欠かさずライブをすることで固定の視聴者やフォロワーが増えていき、顔の知らないだれかが自分のことを待っていてくれることが喜びになってといいます。 今では収益も安定し、もともとしていたバイトをやめ、ライブで稼ぎを得ています。一人暮らしをしながらも夢のための修行をし、貯金をためる彼女のライブ中の笑顔は輝いています。

デザイナー「竹内夏海」さん～人を動かすデザインがしたい～

デザイナーを目指す竹内夏海さん。地元情報誌を編集するグループに声をかけ、所属しているフリーランスデザイナーのアシスタントをしています。 彼女は現場で学びながら、飲食店や個人事業主へチラシや名刺のデザインを提案し、気に入ってもらえたら次回から時給をもらってデザインの仕事を取る、という形式で稼ぎを得ている。初回は学生という立場上、無料で仕事を受けるため、デザインが没になれば、タダ働きとなってしまう。 フリーランスデザイナーのもとで勉強をしている彼女はデザインを全て没にされることもよくあり、修正されたデザインを見ては自分のセンスがないことに悩むことがよくあるそうです。 竹内の目標は、見た人が動き出すようなデザインを作ること。商品を買いに行ったり、観光地へ出かけたりと、仕事の裏側で実際に人の流れがみえるような仕事がしたいそうです。そのために、彼女はフリーランスデザイナーを目指しています。最近では、デザインだけでなく、チラシに入れるための写真や、ホームページに挿入するための動画を勉強をしているそうです。 フリーランスで食べていきたいという目標は難しく周りにも反対されているそうですが、勉強と仕事を両立しながら忙しくも充実した毎日を送っています。