神戸ファストジャイロを支える高橋李実さん

―仕事とラグビーどちらも全力で挑むー 

日中は早駒運輸株式会社の事務職として働き、夕方からは社会人女子ラグビーチーム「神戸ファストジャイロ」のキャプテンとしてグラウンドに立つ高橋李実さん。仕事と競技、二つの顔を持つ彼女の一日は、静と動のコントラストに満ちている。

仕事もラグビーも全力で取り組み白熱したプレーを展開する

職場では書類に向かい、数字や言葉と丁寧に向き合う。だが夕暮れ時、練習場に立つとその表情は一変する。高橋さんのポジションはFL(フランカー)。試合中は絶え間ない運動量が求められるポジションだ。チーム練習では、アップから始まり、ハンドリング、コンタクト、戦術確認と段階的に強度を上げていく。ゲームフィットネスでは実戦を意識し、息が上がる中でも声を掛け合う。日々のストレッチではゴルフボールやテニスボールを使い、疲労した筋肉をほぐすのが高橋さんの練習ルーティンだという。

神戸ファストジャイロは社会人と学生混合のチーム。メンバーとは練習でしか顔を合わせられない分、コミュニケーションを何より大切にしている。「キャプテンとして、自分が喋るだけじゃなく、チームのみんなが自由に意見を出せる雰囲気を作るようにしています」。全員が同じ目標をもって取り組んだり、練習の意図の共有を大切にしている。

円陣を組んで士気を高める神戸ファストジャイロの皆さん

プライベートでは、どんなに忙しくてもコンビニ弁当には頼らず、毎日手作り弁当を持参。得意料理はココナッツカレー。低脂質・高タンパクを意識した自炊を続け、体づくりに抜かりがない。「疲れた状態で練習に臨まないよう、仕事とラグビー、そして休みをしっかり切り替えています」と話すその姿に、自己管理のプロとしての覚悟がにじむ。

また、チームは地域とのつながりも大切にしている。メリケンパークでのクリーンアップイベントや地元イベントでのラグビー体験会など、子どもたちにボールを手渡しながら、スポーツの楽しさを伝える。「ラグビーを身近に感じてもらえるきっかけになればいいですね」と語る。

今回取材に協力していただいた神戸ファストジャイロの高橋李実さん

目標は、女子ラグビーの最高峰リーグ「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」への出場。社会人としての責任を果たしながら、キャプテンとして仲間を導く。明るく穏やかな人柄であり、責任感と誠実さを持つ姿勢が印象的だった。